近年、患者さんの歯科診療に対する欲求は著しいものがあります。
我が医院では開業以来、インプラント、矯正歯科診療を始め診療レベルの向上に努めてきました。
しかしながら、実際の診療に置いては、患者さんの経済的な状況、時間などにより治療大きな制約を受ける場合があります。
今回、我が歯科医院で、約3年以上にわたり、中断期間を含みながらも、最終的にはほぼ予定の診療まで完了しえた患者さんのケースについてご報告いたします。
学兄の先生方のご意見、ご批判をいただければ幸いです。
なお、矯正歯科診療につきましては私の同期生の、藤崎先生(東京都駒込で開業)が当院で行っております。
患者さんは、昭和23年生れの女性です。
初診: 平成8年3月25日
主訴: 右上の奥歯が取れた。
既往歴: 特記事項ありません。
残存歯: 7 54321|12345
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現症として右上6のブリッジが脱離状態で、右上5は保存不可能な状態でした。
また、左下6は残根状態でした。左下7は欠損です。初診時の咬合支持数は9です。
入れ歯はどうしてもイヤだと申されたので、固定式の修復処置をなんとか選択したいと考えました。
患者さんの費用の都合上、承諾してくれた範囲内で、使用できるインプラントの本数は2本でした。
この与えられた範囲内での処置方針としては、右上5は抜歯し、右上56部はインプラントにて補綴、右上7と右上4は根管治療後、単冠で修復する事としました。
修復処置は右側のみを行うこととし、左上はあえて手を着けず、左下は6の抜歯のみにとどめました。
抜歯、初期治療終了後、平成8年9月65部、ITIインプラントを埋入いたしました。
φ4.1mm,長さ12mm フィクスチャー計2本です。
右上7と右上4は、インプラントの治癒期間の間に、各々単独でクラウンを装着しました。
平成9年3月、インプラント部分の上部構造装着、一応終了となりました。
第期の治療
定期的な検診は行っておりましたが、患者さんが急に来院されました。
患者さんの主訴:「費用の都合ができたので、歯をしっかりと治したい」費用の都合がつき、また、旦那様が上顎前歯部をしきりに気にしているとのこと。
上顎の右上1が唇側に転移、突出しています。補綴的に切削してとも思ったのですが、患者さんの同意を頂き、矯正的に歯列を整えることとしました。
また、前回に行わなかった左側上下臼歯部の処置も、共に行う事ととしました。
平成9年11月、矯正診療開始。
平成10年7月、矯正の動的治療ほぼ終了、保定処置に入りました。
矯正処置中に、上顎前歯部の歯周組織の状態が悪化しました。同様も増大し、保定装置をはずせなくなりました。上顎前歯部の歯周ポケットがかなり深い部分が生じ、7mm以上のポケットも存在したため、外科的に除去する事としました。
同月、上顎3〜3部、F−Ope。
平成10年9月、左上67部にITIインプラントを埋入しました。
φ4.1mm、長さ12mm 1本
φ4.8mm、長さ10mm 1本です。
平成10年10月 左下67部にITIインプラント埋入。
φ4.1mm,長さ12mm 計2本
平成11年6月、左下67部、上部構造装着。
平成11年7月、左上67部上部構造装着。
最終的には口腔状態は下記歯式の様に改善されました。
7654321|1234567
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患者様は非常に喜んでくださいました。
だんな様も一緒に喜んで下さったそうです。
また、咬合支持数も初診時の9から14へと改善をみました。現在、大きなトラブルなく経過良好です。
この患者さんの治療に対する、結果・考察として、
1.インプラントの応用により、臼歯部の咬合高径を保つことができ、上顎前歯部のフレアアップなど、歯列の崩壊をくい止めることができました。
2.矯正治療が行えたため、歯牙の切削などを必要最小限にとどめることができ、審美的にも患者さんの満足を得ることができました。
今回、患者さんの都合にあわせることになったため、診療を二期に分けることになりましたが、患者さんにとっても、当医院に置いても無理のない診療が行えました。
無理に診療を押しつけることなく、信頼感の向上など、結果として良かったと思います。

